ここ数年、車中泊ブームが加速しています。その中でも、新型アトレーのような軽バンをベースにした車中泊カスタムは、手軽さと快適性を両立できることから高い人気を集めています。
本記事では、配線工事を最小限に抑えつつ快適性を確保する「ポータブル電源+12Vクーラー」を中心とした現実的なアトレーカスタム事例を詳しく解説します。
これからアトレーで車中泊を始めたい方、電源周りの構成で迷っている方はぜひ参考にしてください。
目次
車中泊で大容量電源が重要な理由
車中泊において電源は「快適性を決定づける心臓部」です。特に夏場は12Vクーラーの有無で快適さが大きく変わります。
今回のカスタムに搭載した12Vクーラーは最大約75A 12V換算にすると900Wを消費します。これはスマホ充電(約5W)の180倍以上の電力であり、電源容量が不足すると数時間で停止してしまいます。

主な車中泊家電の消費電力目安
機器 | 消費電力(目安) |
---|---|
12Vクーラー | 500〜900W |
電子レンジ | 800〜1,200W |
IHクッキングヒーター | 1,000〜1,500W |
ドライヤー | 800〜1,200W |
LED照明 | 5〜20W |
実際の車中泊では、これらを組み合わせて使用する場面が多く、容量不足は避けられません。したがって、十分な容量の電源システムを準備することが快適な車中泊の第一歩です。
DJI Power1000+拡張バッテリーの採用理由
今回採用したのはDJI Power1000ポータブル電源と拡張バッテリーの組み合わせです。合計で3,072Whの大容量を確保でき、12Vクーラーや照明、スマホ・PCの充電を同時にこなせます。

主な特徴
- 幅約45cm、高さ23cmのコンパクトサイズで軽バンにもすっきり収納
- 拡張バッテリー追加で容量を3072Whまで拡大
- 専用走行充電器で最大600W又は1000Wで充電が可能
- スマホアプリで残量・使用状況をリアルタイムで確認可能
- DJI製ならではの高い品質・安全性
特に高さ23cmという低さは、軽バンの限られた収納スペースで大きなアドバンテージとなります。さらに、拡張バッテリーを接続しても高さは変わらず、ベッド下にすっきり収まります。

ポータブル電源とサブバッテリーの比較
車中泊の電源システムは大きく分けて「ポータブル電源方式」と「サブバッテリー方式」があります。それぞれの特徴を比較してみましょう。


比較表
項目 | ポータブル電源(左) | サブバッテリー(右) |
---|---|---|
設置工事 | 最小限(配線は一部のみ) | 本格的な配線工事が必要 |
持ち運び | 可能 | 不可 |
初期費用(バッテリー本体) 1000Wクラス | 6万円台〜 | 3万円台〜 |
容量拡張 | 機種によって可能 | 自由に拡張が可能 |
用途 | 車外・災害時にも利用可 | 車両専用 |
ポータブル電源は設置の手軽さと多用途性が魅力ですが、12Vクーラーを使う場合はコンバーターを介す必要があり、その過程で電力ロスが発生します。長時間高出力を続けるとコンバーターが発熱し、出力制限がかかる場合もあるため、設置場所の通気性確保が重要です。

今回のアトレーカスタム詳細
今回カスタムした新型アトレーは、お客様持ち込み車両をベースに「快適さ」と「実用性」を両立した構成になっています。

主な施工内容

- MGRカスタム製スタンダードEXベッドキット(25mmクッション・ブラックレザー・テーブル付き)
- 12Vクーラー専用キャビネット+上部収納棚
- 天井全面断熱施工
- LED照明設置
- 運転席側RVウィンドウ(シェード・網戸・換気一体型)
- ベッド下にDJIポータブル電源+拡張バッテリー収納
- 走行充電・外部電源入力対応
テーブル付きベッドキットは、食事やPC作業など多用途に使える便利な装備です。また、ブラックレザー仕様は高級感と清掃性を兼ね備えています。
12Vクーラーを一晩中使うコツ
よくある質問が「12Vクーラーは一晩中使えるの?」です。結論として、今回の3,072Wh構成であれば設定次第で一晩使用が可能です。

稼働時間の実測例
設定温度 | 消費電力 | 稼働時間目安 |
---|---|---|
24℃(通常モード) | 約750W | 約4時間 (3024Wh) |
24℃(エコモード) | 約500W | 約6時間 (3024Wh) |
ポイントは、設定温度と外気温の差を小さくすることです。外気温との差が大きいほど消費電力が増えるため、真夏でも24〜25℃設定+エコモードが長時間稼働には最適です。

まとめ

今回ご紹介した新型アトレー車中泊カスタムは、ポータブル電源と12Vクーラーを組み合わせることで、配線工事を最小限に抑えながらも快適性をしっかり確保した構成です。
車中泊では「どの電源システムを選ぶか」が快適性を左右します。ポータブル電源は設置が簡単で多用途に使えるため、初めての車中泊カスタムにもおすすめです。
オレンジアベニューでは、アトレーやエブリィをベースにしたカスタムを承っています。ご希望や予算に合わせたご提案が可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
さらに詳しく知りたい方へ Youtube動画公開中
今回ご紹介した新型アトレー車中泊カスタムについては、実際の映像とともに詳しく解説した動画も公開しています。
記事だけでは伝えきれないベッドキットの使い勝手や12Vクーラーの稼働の様子、電源周りの配線・収納方法などを、映像でわかりやすくご覧いただけます。
ぜひ動画もチェックして、あなたの車中泊カスタムの参考にしてください。